ASDは、日本語で「自閉症スペクトラム障害」「自閉症スペクトラム症」と言われます。ASDの特徴は、「対人関係が苦手」「こだわりが強い」の2点に集約されます。ですが、この特徴の現れ方の程度が一人ひとり異なります。知的障害の有無も含めてその異なり方についてどこかで線引できるものではなく、連続的に徐々に遷移してくことから、DSM-5では「自閉症スペクトラム」と大きな括りで定義するようになりました。
DSM-5以前では、「自閉症」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」のように分類して取り扱っていたものが、特徴の軽重はあれ、連続した症状群になったわけです。ですので、医学的には「アスペ」というものは無くなっています。
ASDの特徴である「対人関係」については、
・相手の表情や話しぶり、視線などから相手の気持を汲み取ることができない。(いわゆる「空気が読めない」)
・言葉を額面通りに受け取る。
・「受け身すぎる」「一方的すぎる」など双方向のコミュニケーションが上手くできない。
・好きなことの話になると状況を考えられずひたすら話してしまう。
などが特徴です。小さい子供だと、「言葉の発達が遅い」「名前を読んでも振り向かない」「視線が合わない」「独り言が多い」「一人遊びを好む」などの様子も見られる場合があります。
「こだわり」については、
・順番通りに事が進まないと気がすまない。
・予定の急な変更に対応できない。
・好きなことの範囲が狭く、そのことにだけは強い興味・関心を示す。好きなことでは一番にならないと気がすまない。
・偏食が強い。同じものを食べ続ける。
などが見られます。少しだけ息子の事例を上げておくと、野球を見るのが大好きなのですが、例えば、2012年の夏の甲子園で準優勝になった高校の4番打者は誰か、どこのプロチームに言ったか、といった情報がスラスラと出てきます。
もちろん個人差が大きいのですが、ASDの場合、日本社会では生活しにくいことはよくわかりますよね。日本の社会は「空気を読む」ことがかなり要求される社会ですので。大人なると「KY」と言われたり、差別的に「アスペじゃん」みたいに言われたりする現実があります。そう言われてもASDの方にとっては何がおかしいのか不自然なのかわからないわけですから、そのことで無自覚でストレスが溜まったり自尊感情が傷つけられたりしていき、二次障害を引き起こすことも稀ではありません。
ASDは20〜50人に一人とも言われ、男性の方が女性より2〜4倍いると言われています。自分の周りにはASDの人がいることが普通であると認識して、疎ましく思ったり、からかったりするのではなく、その人にあった接し方を周囲ができるようになることが大切です。
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