障害受容その1「受容の過程」

発達障害

 我が子に発達障害があるかもと指摘を受けた時、あるいはご自身で「うちの子もしかして」と気になった時など、親御さんの心の中には様々な葛藤が生じます。

 頭の中では理解できているつもりでも心の片隅で「違っていてほしい」と願っていたり、逆に当初から「そんなことありえない」と受け入れようとしなかったり、葛藤のレベルは個々で異なりますが、最初から我が子の障害をすんなり受け入れられる方はほとんどいないです。

 教員をしていた頃には、学校での様子から、こちらから親御さんに「お子さんのことなんですが・・・」と伝えることが多かったわけです。もちろん医師ではないですから可能性がるという仮定として話をするわけですが、だからこそお子さんの発達の偏りを受け入れてもらうのが困難だったケースがたくさんあります。確実に言えることは、子供が実際に発達障害であったならいかに早く手立てを講じるかがその子の将来のためには必要ですから、お子さんの発達障害の可能性を受け入れてもらえるように色々と手を尽くしました。でも誰もが簡単に受け入れてくれたわけではありません。障害という言葉への抵抗感もあれば、表面上の目立たなさも相まって受け入れにくいのが現状でした。

 ですが、発達障害の受容はお子さんのために親御さんが乗り越えなくてはならない最初の大きなハードルです。そこで、実際の事例にも触れながらこの障害受容について何回かに分けて記事を書いていくことにします。

 今回は、発達障害に限らずに障害受容の過程(親御さんの心理的変容)について、発達障害の臨床医でもあり権威でもある杉山登志郎先生の著書「発達障害の豊かな世界」から引用して紹介します。

 親御さんの障害受容の過程は、杉山先生によれば、キューブラー=ロスの提示した「死の受容」の五段階がそのまま適応でき、その「死の受容」を「障害受容の過程」に置き換えると次の五段階で表すことができるそうです。

 

否認・隔離
我が子が障害であるはずがない、と頑なに認めたくない段階。障害は間違いであると言ってもらえる医師を探してドクターショッピングを重ねることもある。
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怒り
なぜ自分の子供だけが障害児に生まれたのかと怒りが湧いてくる段階。周囲の人のかかわりが他人事のようで冷たく感じたり、場合によっては結婚の経緯にまでさかのぼってまで怒りが生まれる。その怒りは我が子にまで及ぶこともある。
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取引
療育などの訓練に没頭する時期。障害に良い治療法だと聞けば遠方をいとわず出かけたり、場合によっては虐待すれすれまで子供を追い込んでしまうほど、追い詰められた精神状態。
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抑うつ
障害に対するあきらめの時期。さまざまな療法等を試みるも、障害の存在が否定できなくなると抑うつ状態に陥る。周囲との関わりを避け、熱心だった療育にも関心がなくなってくる。
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受容
障害受容の段階。前段階の苦しい過程を経て、障害があろうとなかろうと、かけがえのない我が子であることを了解し、障害を受け入れる。

 

 私も発達障害の子の親ですので、この五段階はよく理解できます。ですが、このステップを進む速さは個々のケースで全く違いますし、ステップを進むこと無く最初の「否認・隔離」のまま全く前進できない場合も見てきました。見てきたというか対応してきたですね。

 次回は事例をいくつか紹介したいと思います。

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