障害受容その2「受容の実態」

発達障害

 前回に引き続き障害受容について書いていきますが、今回は特に障害受容の実態を、私が実際に関わった事例を元に紹介したいと思います。

 杉山登志郎先生が示された障害受容の五段階を改めて記載させていただくと、

否認・隔離 → 怒り → 取引 → 抑うつ → 受容

になります。

 現職時代、障害を持ったお子さんあるいは障害を持っているかもしれないお子さんと何人も接してきて、その子達の親御さんとも関わってきました。上記の五段階を経ていくスピードは本当にお一人お一人違っていて、各段階に費やす時間もまちまちです。私がある学校に在籍している数年間ずっと「否認・隔離」から変わることのなかったお母さんもいれば、ほんの数週間で「受容」できた(ようにみえる)親御さんもいました。そんな私のこれまでの関わりの中から、ここでは発達障害だけではなく、知的障害等も含めた障害受容の事例を挙げてみます。

事例1

 小学校入学後、1ヶ月位過ぎた頃から授業中の立ち歩き、奇声、急な時間割変更時のパニックなど、発達障害が疑われる所見が見られるようになったお子さんがいました。その様子をお母様にお伝えしたところ、最初は「私が甘やかしすぎたせいではないでしょうか」と言われました。それに対し、私の方からは子育ての良し悪しではなくお子さん自身に発達の偏りがあるかもしれないこと、お子さんに最良の手立てを打っていくためにも発達検査を受けてほしいことなどを伝えました。

 このお母様は少なくとも私の前ではあまり「否認」や「怒り」を見せることがなく、ものすごい勢いでご自身で発達障害について調べていかれました。段階としては「取引」に当たるのだと思いますが、「否認・隔離」「怒り」を早く昇華させるための手立てだったのかもしれません。発達検査の結果が出る前の医療や教育相談等にかかっていない時期に「うちの子はこだわりも強いようだしアスペルガーなんだと思います。それにちゃんと話せば理解してくれるので聴覚優位ですよね。」といったことをお話になるくらいにまでなっていました。

 とても情報過多になっていて危うい印象を持ったのですが、発達検査の報告をカウンセラーから聞いて最初に私に伝えてくれたのが、「うちの子、ものすごく視覚優位なんだそうです。」という言葉でした。かなり落ち込まれていましたが、そこからはじっくりとお子さんの課題に向き合うこともできるようになり、私からの助言も素直に受け入れてくださるご両親だったので、その後は医療や校内支援体制との連携も上手くいき、早い段階からお子さんに適した支援をすることができました。

 

事例2

 次のケースは在籍校のお子さんとの関わりではなく教員としてのつながりで話を伺った事例です。奥様は知的障害の特別支援学校の教員、ご主人が中学校の教員です。お二人の間に誕生したお子さんが知的障害を持っていました。私自身がそうだったように、日頃から障害のある子供と接している場合自分がその立場になっても「受容」までの時間が短いと思っていましたが、この奥様はお子さんの障害をどうしても受け入れることができない状況が続いています。強い「否認・隔離」から次の段階に移行することができず、それが原因で精神的な疾患になり入院されています。お子さんのはご主人が育てていますが、話を伺う限りではまだ段階的には「怒り」に留まっているようです。大変ご苦労が多い状況ですが、なんとかお二人にはお子さんを「受容」してほしいと切に願っています。

 この事例は極端な事例だと考えていますがあえて紹介しました。なぜなら、冒頭に受容までの時間は個々で違うと言いましたが、実際には最初の「否認・隔離」の段階でかなり葛藤されるケースが多いからです。

 今このブログをお読みになっている方で「否認・隔離」で苦しまれている方がいらっしゃるかもしれないのですが、それは決してあなただけが直面していることではないし、我が子を受け入れられないことに罪悪感を持っていただきたくないことをお伝えしたかったからです。

 

 次回は、発達障害の中でも特にADHDの障害受容について、「学校と家庭」にフォーカスしてお話をしたいと思います。

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